思えばあれは前回シンガポールへ行ったとき。
友人Sさんの長男の日本食大好き少年F君が
私が日本人だということに非常なる興味を示したようで、
「お母さん、今度いつ天ぷら食べにいけるの?」って
言いだしたんだっけ。
「あら?そんなに天ぷら好きなの?日本では天ぷら家でも作るのよ」
な~んて調子に乗って合いの手を入れた私が悪かった・・・!
Sさんすかさず
「Oh! Really?じゃ、来月来た時
うちで天ぷら作って!」とすごく嬉しそうな顔するし、
F君も期待のこもった瞳で私を見ているわ。
思わず出た言葉は勿論、
「Sure!」・・・やっちまったわ。
天ぷらは食べるのは大好きだけど、作るのは大の苦手で、
これまで何度かチャレンジしたものの、お世辞にも
美味しいと思えるような代物を作れた試しがないのにー(涙)
でもさ、基本的には衣つけて揚げるだけだし、
一度練習すればOKよねっ。
で、今月。
出発1週間前になり突如この
しなきゃよかった約束を思い出したわ。
ピーコックに駆け込み、普段は使わない天ぷら粉を購入。
天つゆも「大根おろし入り」なんていう便利な物が
売っているなんてもう感激!これも購入。
そうだ、お米も日本のものが美味しいわよね、と、
1kg入りのコンパクトなコシヒカリも籠に投入。
ついでに2人のお子さんが喜びそうなMade In Japanの
お菓子を買ってあげよう!
と、得意分野の買い物は順調に済んだものの、
肝心の練習日がもうない!もういいわ!これだけあればどうにかなるでしょ。
シンガポール到着後、Sさんに約束を果たすぜと
電話をすると、とても嬉しそう。奇しくもF君の大切な試験が
控えているので大好きな天ぷらを食べられるなんて言ったら
喜ぶだろうとのことよ。
くら~(軽いプレッシャーにめまいが)
折角でも大きなスーツケースにして米まで運んだことだし、
ここでひくわけにはいかないわ。
いざ出陣!
天ぷらと言えばやっぱり海老よねー、あれ!?どっちに切込みを入れれば
丸まらないんだっけ!?とネットで直前に調べて(ちなみにお腹でした☆)
行き、あとはテキトーに野菜を購入。
Japanese Nasuなんてのも売ってたわ。
(ローカルの5倍くらいの値段で!)
Sさん宅には偶然彼女のご両親まで
インドネシアからみえていて、もう絶対に失敗は許されないかもー!?
日の丸背負ってる!?私…(涙)
Sさん宅で素晴らしいのは、野菜は大体こんな大きさ
とかって言うとメイドさんが横でそれにならってどんどん
切ってくれるところ。下準備、チョー楽!
お米を何度も洗うところ、海老に切込みを入れるところ、
茄子を塩水につけるところなどなど細かいところ
一つ一つに周りから「なるほど~」という声が上がり、
もう、俄然注目度高いわ!いやーん、ますます緊張!
なんと皆天ぷらが大好きだから、
この機会に作り方を覚えて
今後家でも作ろうとしているらしいわ。
ま・まじで!?私のなんか超インチキだし下手くそだって言っても
皆「単なる謙遜」と思っているみたいでにこやかに
首を振る…きゃー、もう、逃げ出したい!!
ん?確かレンコンは何かにつける気もしたけど、もう知らないっ!
泣きそうになりながら、大人5人、子供2人分という大量の揚げ物開始。
とにかく上手に揚がってねと、祈るような気持ちで
油に天ぷらを次々投げ入れ続け、一体どれほどの
時間が経過したのかしら?
途中「私はこんな遠い空の下一体何をしているのかしら?」と、
虚脱感に襲われたわ。
さて、SさんとCちゃんがF君のお迎えから戻ってきたわ。
もうどうにでもなれ!
覚悟は決めたものの、出来上がりは何というか、
もう、明らかにやばい!
衣がからっとしていないし、ご飯もなぜか硬い!
(私は家で柔らかめに炊いてしまう傾向があるので
ここは一つ!と気合を入れすぎたのか裏目った模様。)
ご飯も満足に炊けない日本人って一体…!?
子供は実に正直なもので、F君
「なんでレンコンがさくさくしていないんだ?」
と心の底から不思議&不満そう。(しかも彼無類のレンコン好き)
確かに。なんで?私が聞きたい!!
と、心の中で涙しつつ、全種類をすばやく味見してみると、
うーん、悲しくなるほどにどれもこれも美味しくない…
逆にSさんのお母様が作ってくださったインドネシア/中国
料理はものすごく美味しいわ。
実力の差が歴然どころか、私、穴があったら入りたいって
まさにこういう気分なのねぇーと、こんなところで実感してしまったわよ。
皆あまり批判してはいけないと思ったのでしょう、
心なしか静かにランチは終わったわ。ノーコメントは
まずいと言われるよりもはるかに堪えました、ハイ…(涙)
しかも、
「このソースはヴェリーグッド」って、それ、市販のだし…
フォローになってないし…(号泣)
ああ、無理なことは無理と最初に言うべきだったのね。
この中に日本人は私しかいないし、と、強気に出たのが
間違いだったわ。とほほーん
ま、もう二度と私に和食を作れなどという依頼は
こないでしょうからそれはいいとして、それでも暫く
落ち込みそうな天ぷら。
もう、一生作りたくないよォー!
一体全体どうやったらからりと揚がるのかしら?
(袋には誰でも簡単にって書いてあったのに、不思議…)